高低差速報

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       ヒトは約6万年前にアフリカを出て世界中に広がり、その後今日に至るまで人口を増やし続けてきた。そしてこの6万年間を通じ、科学や芸術を発展させて文明を築き、産業や貿易を発展させて地球規模の市場を築き、地球環境を大きく変える力を手に入れた。

       たった一種でここまで地球環境を変えた生物は、生命の歴史上初めてだ。ヒトはわずか6万年の間に、どうやってこれほどの力を手に入れたのだろうか。

       その謎を解く手がかりが、ヒトゲノムの研究から得られてきた。今回はその最新の成果を紹介し、ヒトという種の驚異的能力の背景について考えてみよう。

      ■ ネアンデルタール人との出会い

       「ヒト(ホモ・サピエンス)」はアフリカで進化し、約6万年前にアフリカを出て地球全体にひろがったのだが、実はヒトより先にアフリカを出てユーラシア大陸にひろがったホモ属の化石人類が少なくとも2種いたことが分かっている。

       その一方は、西アジアからヨーロッパにかけて広がった「ネアンデルタール人」であり、1829年に子どもの頭骨が発見されて以後、ヨーロッパ各地や西アジアから多くの骨格化石が発掘されてきた。

       そのネアンデルタール人は、約4万年前に絶滅した。約4万5000年前に起きたヨーロッパへのヒトの分布拡大がネアンデルタール人を絶滅に追い込んだ可能性が高いが、両者の分布が接触したときにいったい何が起きたのか、よく分かっていなかった。

       ネアンデルタール人の骨格化石には、ネアンデルタール人のDNAが残っている。そのDNA配列を決定できれば、ネアンデルタール人とヒトとの違いが明らかになり、ネアンデルタール人がなぜ絶滅したか、ヒトはなぜ急速に地球全体に広がったか、などの疑問に答えることができるかもしれない。

       こう考えて、ネアンデルタール人のDNA配列決定という困難な課題に挑んだのが、マックスプランク進化人類学研究所のSvante Paabo(スヴァンテ・ペーボ)博士だ。

       ネアンデルタール人の骨から得られるDNA分子は、細かく断片化しているので、その配列決定は困難をきわめた。しかしPaabo博士は技術的改良を重ね、2010年についにネアンデルタール人の全ゲノム配列(遺伝情報が書きこまれたDNA分子の全配列)をサイエンス誌の論文で公表した。

       その配列を世界各地のヒトのゲノム配列と比べた結果、ヨーロッパの現代人集団では、ゲノムの1~4%の配列がネアンデルタール人に由来することが分かった。

       一方、アフリカのヒトのゲノム中にはネアンデルタール人に由来する配列は見つからなかった。つまり、ヨーロッパに進出したヒトは、ネアンデルタール人と交雑し、その遺伝子の一部を取り込んでいたのだ。

      ■ デニソワ人とも交雑していた

       この、ネアンデルタール人ゲノムプロジェクトが進行しているさなかのことだ。西シベリアのデニソワ洞窟で2008年に発見された子どもの指骨のサンプルがPaabo博士のもとに届けられた。

       この骨から一部のDNA配列を決定したPaabo博士は驚愕した。その配列は、ネアンデルタール人ともヒトとも異なるものだったのだ。

       「デニソワ人」と名付けられたこの化石人類のゲノム配列もまた2010年に決定され、世界各地のヒトのゲノム配列と比較された。

       その結果、メラネシア(ニューギニアとその東側の島嶼)の先住民集団のゲノム中には、デニソワ人由来の配列が4~6%存在することが明らかになった。ヒトはデニソワ人とも交雑していたのである。

       つまり、ヒトはネアンデルタール人・デニソワ人それぞれの遺伝子をとりこんだ「雑種」ということになる。

       ここまでの研究史は、Paabo博士による著作『ネアンデルタール人は私たちと交配した』(文藝春秋)にいきいきと描かれているので、興味をもたれた方はぜひ一読されたい。この著作が出版されたあとも、研究は着実に進展している。


      ・ネアンデルタール人の骨格標本と復元模型。国立科学博物館の展示。Wikipediaより。
      http://i.yimg.jp/images/jpnews/cre/common/all/images/fbico_ogp_600x600.png


      Yahoo! JAPANニュース/JBpress 3月31日(木)14時55分配信
      http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160331-00046457-jbpressz-sctch

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      【研究】6万年前に人類が手に入れた脅異の能力とは何か?の続きを読む

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