1: 高低差速報
実は、アップルの再生可能エネルギー転換における最新の取り組みの現場は日本にある。それはどういうことなのだろうか。アップルで環境・政策・社会問題を担当する副社長、リサ・ジャクソン氏に単独インタビューを行った。

アップルは9月22日に米国や日本を含む国々で「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」を発売し、また11月3日には「iPhone X」を発売する。実は、この最新のiPhoneは、2つの意味で、環境問題にインパクトを与える製品となっている。

「iPhone 8、iPhone 8 Plus、iPhone Xは、最新のカメラや美しいディスプレイを搭載し、多くの人に気に入ってもらえるスマートフォンになるでしょう。搭載しているA11 Bionicは、処理性能と同時に、高い省電力性を備え、これまでとほぼ同じバッテリーで、1日中、高い処理性能や高画質の体験を楽しむ事ができます」(ジャクソン氏)

世界で毎年2億台以上が販売されるiPhoneが、1日に1時間のバッテリー持続時間が延びるだけで、膨大な電力を節約できる計算になる。そして、その製造工程でも、大きな進歩が見られたという。

もうひとつの環境問題へのインパクトは、ボディデザインの変更である。「iPhone 8、iPhone 8 Plusは、アルミニウムのフレームとガラスのボディの新しいデザインを採用しました。これによって、製造工程における温室効果ガスの排出は、iPhone 7の頃より11%減、iPhone 6と比べ86%減と、大幅な削減を達成しています」(ジャクソン氏)。

膨大な数のプロダクトを製造し、世界中の人々が利用するアップルは、自身の製品がもたらす環境へのインパクトを自覚し、注意深くエンジニアリングに取り組んでいるわけだ。

そして今回のインタビューでジャクソン氏は新しいプロジェクトを明らかにした。それは「日本では再生可能エネルギー100%を達成する」というものだ。

具体的には、日本で都市型太陽光発電事業に取り組んでいる第二電力(大阪市中央区)とパートナーシップを組み、ビルの屋上にソーラーパネルを設置するという。

「今回の取り組みでは、300のビルの屋上に、新たにソーラーパネルを設置します。都市の中で再生可能エネルギーを作り出す場所を確保する事ができるアップルと、屋上のパネル設置によって収益化ができるビルのオーナーはWin-Winの関係になるでしょう」(ジャクソン氏)。

ジャクソン氏によると、このプロジェクトで作り出される電力は18Mwhにのぼり、日本に設置しているオフィス、研究開発拠点、リテールストアなどで用いられる電力全てをまかなうことができるとしている。「このプロジェクトによって、アップルの日本におけるビジネスは100%再生可能エネルギー化を達成します」(ジャクソン氏)。

ソーラーパネルを設置する広大な土地の確保が難しい日本において、都市の中で電力を創り出すアイデアは、最適なソリューションになる。日本以外の拠点での再生可能エネルギー化にも活用されるアイデアになり得るという。

アップルは自社が直接関わる活動の範囲内だけで再生可能エネルギー化を行っているだけではない。サプライヤーや委託製造先も含めたサプライチェーン全体での「再生可能エネルギー100%」を目指している。

たとえば日本のサプライヤーであるイビデンは、アップル向けの製造に関して再生可能エネルギー化を進めている。アップルは、今後もサプライヤーの再生可能エネルギー化を支援していく考えだ。「サプライヤーの再生可能エネルギー化は大きなチャレンジ。様々な形での支援をしながら、プロジェクトを進めていきたいと考えています」(ジャクソン氏)。

日本では、ほかにも先端的な取り組みがある。神奈川県横浜市に開設する研究開発センターは、アジアにおける初の「気候変動に配慮してデザインした拠点」になるとのことだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/189877?page=2

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