1高低差速報
「世界のスマートフォン市場で利益を独占しているのは、米アップルである」というのは、今や不文律となっている。
米調査会社Strategy Analyticsが11月22日に発表した第3四半期(7~9月)の世界におけるスマートフォン営業利益調査で、アップルの営業利益が全体の91%を占め、
過去最高を記録した4年前の調査(2012年第1四半期)では7割強のシェアであったことを考えれば、アップルの一人勝ちがより鮮明になったといえよう。
アップルのビジネスモデルは、小売価格をハイエンドに設定し、部材や製造コストを徹底して圧縮することで、利幅を広げるモデルである。

『アップル、アマゾン、グーグルのイノベーション戦略』(雨宮寛二/エヌティティ出版)

アップルは携帯電話会社に販売台数をコミットさせることで在庫を厳格に管理し、規模の経済により限界費用を下げることに余念がない。
世界全体での営業利益94億ドルに対し、アップルが85億ドルの営業利益を叩き出しているのも容易に理解できよう。
他方今回の調査で、2位から4位を占めたのは中国企業のファーウェイ、ヴィーヴォ、OPPOで、どの企業も2%強とほぼ同程度の営業利益を出している。

これらの端末メーカーは、アップルとは逆にローエンドモデルで市場を席巻している企業で、低価格を武器に中国市場を基盤にして東南アジアの国々でもシェアを伸ばしている。
このように、世界のスマホ市場で営業利益を出しているメーカーは、ハイエンドとローエンドで二極化しているのが実態である。
こうした二極化の背景で、その中間に位置する端末メーカー群が両者の板挟みとなり、営業利益を出せていないのもまた事実である。
たとえば、韓国サムスンは、4年前の調査ではアップルに次ぐ2位に位置し2割強の営業利益を出していたが、今回の調査では圏外となっている。
ギャラクシーノート7の発火事件の影響を差し引いてもサムスンの競争力が低下した感は否めない。
急がれる収益モデルの確立

中間に位置する端末メーカーの多くは、スマホのOSに米グーグルのアンドロイドを採用していることから、他社との差別化を図るのは容易ではないため、価格競争に陥りがちである。
iPhoneの平均販売価格が600ドル強であるのに対して、アンドロイドスマホが200ドル弱であることを考えれば、その差は歴然である。

アップルや中国メーカーのように端末販売で利益を出すという収益モデルが確立できなければ、別の戦略モデルを考えるよりほかに手立てはない。
実際サムスンのように従来、端末販売で利益を出すとともに、競合企業に部材を供給して利益を上げるという2つの収益モデルを採ってきた企業もある。
今後はiPhoneの粗利益率が減少するという見方を示しているアナリストもいる。
市場のニーズと技術の進歩の狭間で、アップルがうまくバランスを取っていけるかどうかが鍵を握ることになろう。

http://biz-journal.jp/2016/12/post_17370.html
2016.12.05




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