1: 高低差速報
 【集大成の男たち】

 W杯ロシア大会(14日開幕)のメンバーに選出された23人の平均年齢は、W杯日本代表史上最高の28・22歳。“おっさんジャパン”とも揶揄される顔ぶれの中には、ロシア大会を最後の大舞台と位置づけているベテランもいる。3大会連続出場で、開幕前日の13日に32歳になる本田圭佑(パチューカ)もその一人だ。

 不敵な笑みを浮かべながら本田は言った。

 「そうですね。やりやすくなってきました」

 壮行試合のガーナ戦(5月30日=日産ス)へ向け千葉県内で行われていた合宿中。日本代表監督の交代を受けて、メディアから「代表はやりやすくなったか?」と問われ即答した。

 要するに、前体制下では「やりにくさ」を感じていたということだ。それを裏付けるように、同14日にNHK総合テレビで放送された『プロフェッショナル 仕事の流儀』の冒頭では、ハリルホジッチ前監督の解任前に収録された意味深い言葉が紹介されている。

 「ハリルのやるサッカーにすべてを服従して選ばれていく方が、僕は恥ずかしいと思っている」

 縦への速さを求めた前監督に対し、パスをつなぐ戦い方も必要だと、公然と反旗を翻したこともあった。自身がベンチのまま日本が豪州に快勝しロシアW杯出場を決めた直後には、こんな言葉を残している。

 「危機感を与えてくれたことに、逆に感謝しています。自分の中で悔しさがなくなれば、もう努力できない」

 エッジの効いた言葉ゆえに、賛否両論を呼んできた。「選手とのコミュニケーション、信頼関係が薄らいできた」と説明された前監督の解任理由には、本田の意向が影響を及ぼしているのでは、との憶測が飛び交う今、サッカー人生で最大級の逆風にさらされている。それでも本田はビッグマウスをやめない。

 「ビッグゲームで結果を出してきた。今回も同様に、1発目のシュートが決まる気もする」

 W杯メンバー入りが正式に決まる前から、本田はすでにコロンビアとの1次リーグ初戦を見据えていた。食事の席では率先して盛り上げ役を務め、外部に対しては虚勢を張る。不器用にも映る生きざまの真意を、こう明かしたことがある。

 「自分が弱い人間だということを知っているから、僕は逃げ道を遮断しようとしたんですね」

 プレッシャーの真っただ中に進んで身を置くことで、結果を出さなければいけない状況を作り出す。「追い込まれるほど力を発揮する。だから“本田圭佑”なんです」

 再び輝きを放てるのか、否か。3度目にして最後のW杯と決めているロシア大会で答えは出る。(スポーツジャーナリスト・藤江直人)

引用記事:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180607-00000018-ykf-spo


honda_wcup2018


関連記事