1: 高低差速報
こうした公衆衛生に対して高い意識が保たれている国だからこそ育まれた代表的な食べものがある。「寿司」だ。
 素手で握った生魚を客に提供するには、それ相当の衛生的環境が求められるが、日本の寿司職人は、徹底した人材教育と衛生管理によって、
見事にその伝統と環境を守り抜いてきた。今や日本の寿司は、生ものを口にする文化がなかった国でも食されるほどポピュラーな食べ物として
知られるようになり、日本を代表する文化の1つとしても、その地位を不動のものとしている。
 しかしニューヨークでは、そんな世界に愛されてやまない日本の寿司が、数年前からある論争に巻き込まれている。その論争とは、
「寿司を素手で握るのは、衛生的か否か」というもの。病院や旅館などで集団食中毒が頻発していた当時の日本でも、海の向こうで
勃発したこの日本の食文化論争は、一時逆輸入される形で話題になった。
 事の発端は、ニューヨーク市の衛生局による、ある取り決めだった。当局が、市内のレストランにおける衛生基準の1つとして「調理時にゴム、
またはプラスチック製の使い捨て手袋の着用」を義務付けるようになったのだが、この“調理”に、本来素手で扱われるはずの寿司も該当するとされたことで、
現地の寿司職人らも、この手袋の着用を余儀なくされたのだ。
 一部の寿司店はこの基準に反発し、署名運動にまで発展したのだが、最終的に、当局の改善命令に従わなかったとして、
現地の人気寿司店が廃業に追い込まれる事態になったのである。
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